読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

甘い音楽

個人的にリスペクトしてる砂漠力士さんがこんな記事を書いてて。

 

sabakurikishi.hatenablog.com

 

TLにもちらほらキリンジやのんちゃんのCMが話題にあがる。エイリアンズ、聞いてみた。すごくいい。CMだと削られちゃうから薄くなっちゃうけどフルで聞くと甘い。大してイケメンどもないむしろイケてないが故に甘い恋愛を夢想しそうな兄弟がドアップで映る。月の裏とか。好きだよエイリアン、なんて甘い。分かりあえなくて分かりあえて一人で二人で孤独で二人きりの世界にいて。ああ、好きだと思った。こういう甘さ、好きだ。

 

CMだと薄くなっちゃうと書いたけど全然健闘してる方だと思う。キリンジって最初名前を聞いたとき「麒麟児」で変換されてそういえばそんな名前の力士いたよな……となった。物販のタオルには長い茶髪ポニテでピアスつけてる若い女の書道家が荒々しく「キリンジ」って書く系のバンドなのかな……と偏見を持ってしまった。で、メンバーが「馬の骨」として分離独立したと聞きこれも佐野実に似た某音楽家ではない)的な熱血ラーメン的音楽なのかなと思ってしまった。だけど全然違ってむしろ家系ラーメンよりも田舎町の陰がある小さなパン屋のような音楽だと知った。きっかけは藤井隆さんの「わたしの青い空」だった。まずレフト藤井が音楽してた(あとどうあがいても隆なのにカッコつける微妙にうまいダンスも)のが驚きだったのだけど、80年代高橋幸宏曲みたいなほの暗いお耽美エレポップなのが衝撃だった。

 


藤井隆 - わたしの青い空

 背伸びしてる17歳の少女に援助交際中の夢見る中年男性が贈ったような歌

藤井隆「わたしの青い空」 - :::夢見る乙女たちの夢が醒めないように:::

 

 って表現、絶妙ですね。逃げ恥でみんな夫婦を越えていっている間、グロテスクなくらいロマンチストな援交男性と夢見て大人ぶる少女の音楽を聞いていたわけです。絶対家系ラーメン食べて書道タオル回す人の音楽じゃない。純粋だから生きづらくてねじくれてしまっている人の音楽だと確信した。Line mobileののんちゃんも純粋だから生きづらいって感じをすごく醸し出してる。私もよく人にぶつかる。というかうまく避けられない。のんちゃんみたいな薄幸な美少女じゃないから変なポーズを取ってサーセン(小声)で逃げてく。

 

恋歌は大体甘い音楽なのだけどこういうああ、甘いな……って音楽はなかなか無くて。80年代のほの暗いてほの甘い音楽。最近聞いてるのはアーバン・ダンスの「6月の雨 -IN THE BORDER TOWN- 」。これもすごく甘い。もともとインストだったのを、2016年に再結成にともなうリメイク・トリビュートアルバム(U-DNA)を出す際に歌詞を付けてリメイクした曲。80年代高橋幸宏プロデュースでポストYMOとして売られただけあって、音が更新されてもメロディにはそんな感じがある。アーバン・ダンスって物凄く活動期間が短かったのに、なぜか後期は小洒落たラブ・サイコ要素を歌詞にぶちこんでくる。ちなみにU-DNAにはミッチーのカバーもあってどこまでもミッチーで最高……!ってなる。私はこの前ライブ見たけどボーカルの成田忍さんはふわっとした可愛らしい方でそんな人が、

 君が掛ける椅子になりたい

 


Urban Dance - "KISS X KISS"

(このMVから「私の青い空」に受け継がれてくダサおしゃれお耽美感を感じてほしい。映像エフェクトがまるで女児向けファンシー文具みたいなのも最高にオツで良い。)

  快楽信号(シグナル)で受け止めて

 なんて歌詞を歌っていたのだからすごい。ちなみに私が一番好きな曲はCAMERA OPSCURAって曲。ピチカートファイブとも関わりがあっただけあって、ネオアコっぽい要素もある一曲。でもこの曲も

 いつも見つめていた 僕は毎日 オペラグラスで

 とどう考えても不穏なのね。それでサビが

 カメラオプスクーラ 君を閉じ込め

カメラオプスクーラ 此所においでよ

 

だから一歩間違えてなくても犯罪なんだよな。でもこういうのを犯罪の一言で切っちゃうのはロマンがないしそういう人間にはなりたくないと切に思う。物騒な世の中だけどこういうロマンを切り捨てることだけは絶対にしたくない。

 

アーバン・ダンスの話でずいぶん逸れてしまったけどとにかく「6月の雨」はほんと甘くて。どんなに色恋悲恋失恋(サイコ)を歌っていてもやっぱアーバン・ダンスは男性の歌詞だなーと思う。マッシブさがどこかにある。別に男性にロマンな甘さが無いと言ってるわけではないよ。ただ6月の雨は他の曲に無い甘さがある。成田さんの奥さまの川喜多美子さんが作詞されてて、美子さん特有の少女性やメルヘン(だと甘すぎるかな)な甘さが歌詞にある。美子さんがやってたD-dayってバンドは成田さんプロデュースで2000年代再開したのだけどほんとかわいい。美子さんは声もかわいいし世界観もかわいい。6月の雨も

 遠くから誰かが 君の名を呼んでる

さよならも言わずに どこへ行くつもり

 なんて。これは女性じゃないと書けない歌詞だなぁーと思った。成田さんのエモい美メロや美子さんが元々持つ世界観の甘さに加えて、信頼しあってるんだなーって愛も感じる。

   

アーバン・ダンス/U-DNA

アーバン・ダンス/U-DNA

 

 

成田忍さんはDear futureのカバーもほんと素敵で。U-DNAでこの舌ったらずの美少女誰だと思ったらNARASAKIさんだった。原曲もロックで不思議で充分エモいんだけど成田さんの音と声でまた別のエモさが出てる。ピンドラ見よう見ようと思って未だに見れずにいる。ごめん。

 


DEAR FUTURE by Shinobu narita(URBAN Dance)

 

 信頼してる人間の甘さ、ってのはほんとあって。二人の関係性の甘さ。わりと「家系ラーメン」で、愛を語ると「苦労かけてるおめぇに いつか楽させてやる」な浪花節になりがちなヒップホップ。でも甘いヒップホップもある。リブロの「対話」って曲はカップルの対話や日常を描いた曲なんだけど甘い。ちゃんとヒップホップ的な要素や文法も入れててヒップホップしてるけど甘さもある。

耳塞ぎ聞こえてくる旋律 ここは二人だけの天竺

とか最高に甘い。ピアノをサンプリングしてるトラック(確か矢野顕子だったはず)も優しくて甘い。「携帯の電源は切っといて正解」といえるカップルが今どれほどいるのか。あと純粋に韻踏みまくっててすごい。この曲が入ってる「胎動」ってアルバムはほんと名盤なんですが表題曲の時点で

ただただそれは愛の渇望

言葉にするば他愛の無いもの

互いの愛こそ 重たいもの

感じ始めたら止まらない鼓動

 

って愛についてラップしてるんですよね……愛とコミュニケーションがこのアルバムを通してる軸なんじゃないかなぁと思ったり。リブロの対話とスパンクスの普通の恋は私の中の二大理想の恋です。こんなこと云ったらポエミー野郎だと思われそうですが私もグロテスクなくらいピュアなおじさんなんです。インターネットの上くらい夢を語らせて下さい。(おしまい)

 


Libro "対話"


futsu no koi