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呼び起こす会話 音楽やアート

「私はお人形じゃない」/(G)I-DLE『Tomboy』『nxde』をよむ

去年の秋、(G)I-DLEの『nxde』(ヌードとよむ)が話題になった。とにかく一度MVを見て、としか言いようがないのだが、マリリン・モンローとバンクシーへのオマージュをちりばめつつ、強烈な問題提議を呈した一曲だ。 (G)I-DLE(ジー・アイドル、韓国での呼…

地獄に落ちろ平沢進

出典:MC松島 - Qダブシャイン - YouTube 平沢進をリムってミュートして久しい。きっかけは何かは覚えていないけれど、コロナ禍以降だったと思う。コロナはじまりかけ(2020年3月)の時にはライブに行ったし、このような状況下でも、細心の注意を払って絶対健…

2021年上半期 宝塚観劇感想まとめ

バレバレですが宝塚にドはまりした。スカステ(宝塚の有料CS放送)に入り暇さえあればスカステを見ています。暇さえあれば観劇レポツイを追っています(公演中は探せば毎日新鮮なレポが入ってくる恐ろしい界隈)。コロナのおかげでlive配信をするようになり…

降神のなのるなもないを聞いてくれ

なのるなもないというラッパーが好きだ。いてもたってもいられなくなるほど。なのに語れる人がほとんどいない。私はオタクなのでどうあがいてもオタクのテンションでしか語れない。こんなテンションで語っていいのかな、と不安になる。でも語りたくて仕方が…

伝統を逆手に取るマジック  宝塚歌劇団月組「BADDY――悪党は月からやってくる」(2018)

※当記事はショー・テント・タカラヅカ「BADDY――悪党は月からやってくる」のネタバレを含みます。読んで観ても楽しいですが、ぜひ予備知識なしで観るのをお勧めします。amazon primeで1週間550円、1時間で見終わります。1時間でキメてトベられます。 これがタ…

ヴァーチュアル・リカちゃん

三連休。虚無であった。おうちに引きこもって延々と本を読んだり歯痛に耐えかねて寝たり近場のショッピング・モールを徘徊していた。家族としか話をせず、虚無であった。うつろな目で大相撲中継を眺め、うつろな目でtwitterのTLを見やり、うつろな目でやらな…

父を断ち切る音――湯遊ワンダーランド3巻

かなり前の話になるが、湯遊ワンダーランドのイベントに行った。日比谷コテージで、作者のまんしゅうきつこさん(現:まんきつ)と書店員の新井見江香さんがゆるゆるトークするものだった。 湯遊ワンダーランド3 作者: まんしゅうきつこ 出版社/メーカー: 扶…

ふだん着の選挙

期日前投票に行った。以前は投票日に行っていたが、今回は一週間前に投票した。前の知事選では意識していたはずが、肝心の投票日にすっかり忘れてしまった。その反省から忘れないうちに、暇なときにやっておこうと投票した。 過去のわたしだったら、忙しくも…

発話の筋肉

働いてから、なかなか時間が取れない。労働のための準備や何らかのインプット、なにより寝たりぼんやりして心身を休める時間がこんなにいるのかと思い知らされる。こうして何かものぐるおしさに駆られて駄文を連ねることも、インターネットの片隅で駄文をポ…

さようなら、稀勢の里寛さん

友人が働いているバイト先のトイレには、社長のお言葉が貼られているという。社員への心がけだけでなく、「社長のひとこと」なるものがあるらしく、稀勢の里にも物申していたようだ。曰く稀勢の里は休んでばかりで情けない……といった内容。それを聞き私は激…

神話と現実のあいだ――「ボヘミアン・ラプソディ」感想

ボヘミアン・ラプソディを見た。ドルビーアトモスで見た。まるでライブハウスにいるような音響だった。 フレディ・マーキュリー及びQueenについては多くのことは知らなかった。TVで流れる有名な曲、チョビ髭タンクトップ、晩年男性のパートナーと錦鯉を飼っ…

さよなら(したい)インターネット

インターネットがつまらなくなった。似たようなブログも、ツイートも見かけた。もう言い尽くされた話かもしれないが、自分なりの言葉で語ろうと思う。 ここで言うインターネットは、主にSNSやブログを指す。もっと具体的に言うならばtwitterとはてな界隈。そ…

鎖を繋ぐ「啓蒙」、越境する創作

少し前に、日本語ラップリスナー界隈で話題になった記事がある。目次の下の記事だ。以下、様々な観点から思ったことをつらつら書く。 まえがき 本論 ヒップホップカルチャーと女性差別 なぜ広く読まれたのか ファンのあり方論 鎖を繋ぐ「啓蒙」、越境する創…

評価基準を他者に求める呪い ―「半分、青い。」の恋愛・創作観

半分、青い。マジなんなんだろうな。まー君と恋愛したり清とバチバチにやりあったり秋風が創作論振りかざしてるあたり面白かったんだけどな。その時からツッコミどころは多少あったが、まだこのセリフはいいこと言ってるなと思えるとこはあった。すずめが下…

祖父のこと

とても素敵な記事を見つけた*1。ある曲と、母方の祖父のことを思い出した。 まず、この記事で祖父の話をしたいと思う。 shionandshieun.hatenablog.com 殺した側はきっと「善良な人間」であったと思う。本気で民族や国家を考えた先に私の親族の生命を奪って…

「おっさんずラブ」への違和感 BLに何を求めるのか

おっさんずラブを批評するエントリです。あくまでも個人の感想です。ただ作品やCPを好きでいたいと思う方は、読まないほうが幸せだと思うのでブラウザ閉じて忘れてください。しょせんただの一個人がぐだまいてるだけなので。本文でも触れてますが、ほとんど…

どんなに語彙力を投入して推し語りしても神絵師の布教絵には勝てない

オタクにとって、推し(当エントリでは、ジャンルや作品などの人外も「推し」とする)を語ることはライフワークだ。オタクはほぼそれしかやっていないと言ってもいい。推しに触れ、推しの情報を摂取し、推しについて語る。パッションを表現につなげる。オタ…

盤上の見えない血

深夜2時のタイムラインにのぼったツイートは目を疑うものだった。画面の前で一言、マジかよとつぶやいたのち、神様のいたずらに笑った。こんなことがあるのかよ。信じられない事態を前にして、他人事ながら笑うことしかできなかった。決して嘲笑ではない。将…

行方尚史のこぶし

私は行方尚史が好きだ。行方と書いて「なめかた」と読む。愛称はなめちゃん。職業はプロ棋士。現在は八段で44歳。いわゆる「羽生世代」のチョイ下だ。上にも下にも同世代にも強い棋士がひしめく中、行方は現在も第一線で戦っている。順位戦はA級。相撲で言う…

2017年よかったライブ3選

今年色んなライブに足を運びました、と言ってもテクノポップ系がほとんどで、しかもご贔屓(アラ還)が半分を占めますが。締めくくりとして、良かったライブについてつらつら書いてみます。こんな人間が書いているのでセカオワもアムロもケンドリックラマー…

人と同期できない

駅を歩くと、いつも人にぶつかりそうになる。大して人が多いところでなくてもぶつかりそうになって、互いに止まって、少し頭をさげて、手を前に出してここ通りまーすと歩く。へんな間が流れるたび申し訳なさに襲われる。同時にぞろぞろと流れる人の流れを見…

大相撲がしんどい

こんなタイトルのエントリを書きたいと思う日が来てほしくなかった。しかしいまの私はこれを書かないと気が済まないから書くことにする。ただのいちファンとして。 「稀勢の里がしんどい」でも書いたが、もう相撲に関してはどこか冷めてしまったところがある…

巡業、休場、相撲協会マーケティングの限界

今場所は3横綱2大関が休場している(2017/09/22 時点) 。平幕でも宇良が休場(碧山・佐田の海が途中出場)。多くの力士が休んでいる。異常事態だ。 なぜ多くの力士が休場しているのか。こちらの記事を見てほしい。記者の主張は私の意見に近い。これから先の文…

真木よう子の謝罪文を校正してみる

真木よう子のコミケ出店に関する謝罪文が、あまりにもアレだったので(自分のことは棚に上げて)校正してみました。文章読本を読んでいたせいか、揚げ足取りになっています。ツッコミの後に改正案を載せております。 私の文法知識はファジーなので、へぇ~くら…

ハチ「砂の惑星」を聞いて懐かしくなった話

ある日、youtubeを開いたら懐かしい一文が目に飛び込んできた。 「どうも、ハチです。」 うわあああああああ。ハチだ。ハチさんだ。ハチさんの新曲だ。少しは酸いも甘いもかみ分けた人間がイタいボカロ厨に戻ってしまうほどこの一文は私(世代)にとって感慨…

「○○女子」への違和感 (スージョ論考)

先日、バイキングを見てたら将棋が特集されてました。私が個人的に気になる佐々木勇気六段 *1 にまつわるエピソードが紹介されほほえましい気持ちで見ていました。が、ファンのツイートが紹介されたあたりで不穏なものを感じました。そしてひな壇のトークで…

勝負事ブラボー (将棋をチラ見し思うこと)

将棋が気になる。きっかけはもちろん藤井聡太四段フィーバーです。29連勝を決めたときの対戦相手、増田四段が1つ下なので、気づけばアイドルも高校球児もAV女優もみな年下(©R-指定)な気持ちに襲われる。何はともあれ同年代の頑張りは見ててこっちもハッパ…

近況

特に大したことはないのだが、無性にさみしくなってテキストエディタを開くことにした。マウスの横にはオレンジ色のジュリアナ扇子がある。父親が巨人戦に行った土産である。これをヒラヒラさせながら巨人を応援するのだろうか。気が狂っている。 歯医者通い…

それでも通じ合いたい はなしがしたい ー「ピロウトークタガログ語」とガチ恋

こんにちは。先日、面影ラッキーホールことO.L.H.のライブに行ってきました。どんなバンドなのかはwiki見てください。一言でいえば「最高の歌謡ファンク曲に最低な歌詞をつけて最高な歌声で歌う」バンドです。おじさまやおねえ様方が着るのに勇気のいるバンT…

稀勢の里がしんどい

ある日、twitterで稀勢の里厚焼き卵をみた。どうやら稀勢の里の母校で稀勢の里の好物を集めた稀勢の里給食なるものが実施されているという。稀勢の里卵は稀勢の里メニューの一つで、細長い卵焼きに「稀勢の里関」という文字が整然と刻印されている。「稀勢の…